それでも君を
颯くんを見送って水沢先生と向き合う。



「ふふっ、釘さされちゃったね。」



先生が柔らかく笑う。



「颯くん一言余計だし。」



ボソッと呟く私に、まあまあ、とやんわり制してくれる先生。



「じゃあ、診察しよっか。えーっと、血液検査では特に異常はないようだけど、何か気になることとかあるかな?」



問診から始まり、触診、聴診へと進む。



颯くんに分かってるって言った手前、今日は出来るだけ頑張って大人しくしている。



「もう一回ゆっくり深呼吸してみよう。吸って、吐いて。うん、大丈夫だね。」



はぁ、良かった。これで無事終了だ。



診察によって乱れた洋服を正していると、水沢先生から改まった様子で声がかかった。



「立川さんこの後少し時間あるかな?話したいことがあるんだ。」

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