それでも君を
二人の間に沈黙が流れる。



その沈黙を破り、静かに水沢先生が話し出した。



「ほんとはね、こんな場所で言いたくなかったんだけど…外はまだ寒いからさ。」



私の体調に気を使って、ということかな?



まだ3月だもんね。



「うん、そうだね。」



私の何気ない相槌を聞いて、少し申し訳なさそうな顔をする先生。



「立川さんが大学に合格したら伝えようと思っていたことがあってね?」



先生の言葉から、話が本題に差し掛かっていることを察知して、心拍数がぐんっと上昇する。



なに…?



息を飲んで先生を見つめる。



なんだか先生も少し緊張しているように見えるのは気のせいだろうか?



「これから大学に入ったら、新しい出会いがたくさんあると思うんだ。」



うん、と頷くけれど、今のところ話の着地点は全く読めない。


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