それでも君を
先生の話に被せるように、思わず少し強めの言葉が漏れてしまう。



これが私の本心だった。



先生の事が好きだと気付いたのはもう随分前のこと。



だけど、自分は病気なんだと思う度、なかなかその気持ちを伝えることができなくて、心の中にギュッと仕舞い込んでいたのだ。



「うん、分かってるよ。」



とても優しい声だった。



だけど、何故かその声が更に私の感情を掻き乱す。



「私たち医者と患者だよ?」



先生が私と付き合って周りから避難されるのは、とてもじゃないけど耐えられない。



「それも分かってる。」

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