それでも君を
「分かってない…!先生は…分かってないよ!」



「弁えてるよ。立場を分かっているからこそ、僕も中々伝えることが出来ずにいたんだ…。」



「じゃあ、どうして…」



どうして今私にそんなことを言うの…?



動揺する私とは対照的に、水沢先生が優しく微笑む。




「青城先生がね、背中を押してくれたんだ。」



えっ?



「颯くんが…?」



「うん。ある日急に、“自分の気持ちには正直にな、立ちはだかる壁なんて気持ちがあれば大した問題じゃねぇぞ”って。」



相談なんて一度もしたことなかったのに、見破られてたんだよね、と先生が苦笑いを浮かべる。



「だから、病気のことも、年齢差も、立場のことも、すべて含めて僕は正直に伝えようって、伝えてもいいんだって思えたんだ。」



そう伝えてくれる先生の笑顔は清々しい。


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