それでも君を
「いいの…?」



「ん?」



「こんな私でいいの?」



「君がいいんだよ。」



なんでこんな厄介な奴を先生は選ぶのだろう。



先生になら他にいい人がきっと見つかるはずだ。




「病気だし、中身子供だし、診察だって拒否するんだよ?」



「そうだね。全部知ってるよ。」



ふっと先生が笑う。



「この先、悪化しちゃうかもしれないんだよ?」



「させない。もしそうなっても、僕が傍で一緒に戦うから。」



その言葉はとても力強い。



「私から先生に与えられるものなんて、何にもないかもしれないよ?」



「もうたくさんもらってる。だから、そんな心配いらないよ。」



段々と目に涙が溜まってくる。



これほどまでに私は、未来に対して悲観的になってしまう要素が多い。



けれど、何をぶつけても先生から戻ってくる言葉はポジティブなものばかりだった。

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