それでも君を
「ほ、ほんとに?」



今度は先生からこの質問だ。



「ずっと前から好きだった。だから…先生が私でいいんだったら…よろしくお願いします。」



なにこれ、すごく照れくさい…



私の返事を聞いて、先生が手で顔を覆う。



「あぁー…良かった。」



絞り出すように呟く。



「そんなに嬉しいの?後で後悔しても知らないからね!」



場の空気が照れくさすぎて、冗談混じりにそんな事を口走る。



「やって後悔なら悔いはないよ。」



おいっ!否定しないのかいっ。



ふいに水沢先生との距離が近くなる。



次の瞬間にはふわっと柔らかく、私は先生の腕に包み込まれていた。



「ほんとはずっと、立川さんが辛い時、抱き締めて慰めてあげたいと思ってた。」



耳元でそんな言葉が囁かれる。



先生もいろんな葛藤を抱えて、私と接してくれていたのかもしれない。



「ふふっ、今は辛くないよ?すごく幸せなのに抱き締めてくれてるの?」

< 151 / 604 >

この作品をシェア

pagetop