それでも君を
「これはただの愛情表現だよ。」



なんとも先生らしい受け答えだ。



好きな人と触れ合うことが、こんなにも心を満たしてくれるなんて、今まで知らなかった。



ひとつ知ると、もっとほしいと欲が出る。



少し体を離して先生と見つめ合う。



そして、どちらからともなく、自然に唇を重ねた。



唇を離すと、まだくっついていたいという欲望に負け、今度は私から先生の背中へとそっと腕を回す。



それに呼応するように先生がギュッと抱き締め直してくれた。



「好きだよ、梨央。」



ドキッと心臓が跳ねる。



そこにはただただ幸せな時間が流れていた。

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