それでも君を
「おーい、ゆうすけー!」



祐輔と呼ばれたその人が振り返った。



談笑していた友達に断りを入れ、こちらへと近づいてくる彼を見守る。



鈴木祐輔くんは香織の彼氏だ。



がっちりした体格で、体型だけでいうと美女と野獣みたいなカップルである。



「なに?どした?」



「祐輔、梨央をおんぶして全速力で走ってくんない?」



いやいや香織さん、何言ってんの?



鈴木くんもぽかんとした顔をしている。



「全力で走れば、みんなよくわかんないだろうし、トレーニングだと思うじゃん!」



思うかな?



車椅子よりももしかしたら目立つような気もする。

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