それでも君を
ほとんどの生徒はそんな3人のことなんて、気にも止めない。



時々鈴木くんと仲の良い人達から声がかかったが、香織がトレーニング!と叫ぶと納得したように、頑張れーと返ってきた。



病院の方まで来ると、もう声をかけてくるような知り合いはそうそういない。



鈴木くんが段々と速度を落としていく。



「はぁはぁ、ごめんね、ありがとう。」



「はぁはぁ…いや、全然。」



必死に捕まっていただけの私も、全速力で走ってくれた鈴木くんも息が切れている。



香織が受付をしてくれて、ようやく診察室の前までたどり着いた。



「ほんとに…、ふたりとも…、ありがとね。」



息が切れるので、休み休み伝える。



「気にしないで!友達なんだから当然でしょ!」



さらっとそんなことを言う香織はかっこいい。



「俺は彼女の頼みに応えただけだよ!」



鈴木くんも香織に負けず劣らずだ。



なんて清々しくてかっこいいカップルなのだろう。

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