それでも君を
「バイタル僕が測ります。」



診察室の奥から急に現れたのは真ちゃんだった。



「あっち、片付いたのか?」



「はい、しばらくは様子見が必要ですけど、今のところ安定しています。」



別の患者さんの話だろうか…?



「間に合って良かった。じゃあよろしく。」



真ちゃんにそう伝えて、颯くんが奥の部屋へと消えていく。



「ごめんね、気付いてあげられなくて。」



そう私に声をかける真ちゃんは悲しそうな顔だ。



わずかに首を振って答える。



私の様子を見て、診察が先だと判断したのか、真ちゃんからそれ以上の言葉がかかることはなかった。


< 168 / 604 >

この作品をシェア

pagetop