それでも君を
「おっけー。いいよ、楽にして。」



針が刺さったので、力を抜け、と颯くんから指示が来る。



うん、無理だ。



どうやって抜くのか教えてほしい。



「ふっ、無理か。ガチガチだもんな。」



颯くんに笑われてしまうほど、緊張で固まっているのだ。



何回やっても慣れるものではないことを、颯くんもそろそろ覚えてほしい。



「もぅ、苛めないでよ。」



か細い声で言い返す。



それでもやっぱり颯くんの方が一枚上手なようで…



「可愛がってるって言ってほしいな。」



そんな言葉と共に笑顔が向けられる。

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