それでも君を
「じゃあいくよ。」



颯くんからの声かけと共に、針が身体に近づいてくる。



怖い怖い怖い…っ



無意識に身体が強張ってしまう。



「…っ!いっ、痛いっ…っ!」



私が顔を歪めても、痛いと叫んでも、颯くんが動揺することは全くない。



「…よし、入った。」



うぅ…。痛いし怖かったよぉ…



きっと太いと入れる方も大変なんだろう。



けど、颯くんの手技はほんとに無駄がなく、スムーズだった。



あっという間に管が繋がれ、私の身体の中に赤いものが流れ込んでくる。



「気分悪かったりしないか?」



輸血の副作用がないか、少しずつ入れて確認しているらしい。



「今のところは、大丈夫そう。」



「よし。じゃあこのまま続けるよ。」

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