それでも君を
「私も付き合うよ!心配すぎる!」



これから起こるであろうことに考えを巡らせていると、香織から突拍子もない提案が飛んできた。



「えっ?悪いよ。大丈夫大丈夫、慣れてるから。」



せっかくテスト終わったんだし、鈴木君とデートでもしてきなよ。



「今日何も予定ないからっ。それに、慣れてても不安でしょ?ちょっとは気が紛れるかも。」



…優しいなぁ香織。



なんだか結愛みたいだな。



「じゃあお願いしようかな…。」



香織の提案を受け入れ、ふたり並んでゆっくりと病院へ向かって歩き出す。



半分辺りまで来たところで、少し先に待つ、見覚えのあるシルエットを目が捉えた。



「えっ…こんなところで、なにしてるの?」
 


近づくにつれて間違いなく知り合いだと確信する。



「ん?知ってる人?」



香織がだれ?とこちらを振り返る。



白衣姿のその人は、紛れもなく私の彼氏だった。

< 196 / 604 >

この作品をシェア

pagetop