それでも君を
ハキハキとした挨拶を返した後、香織が私にこそっと耳打ちする。



“もしかして、例の彼氏?”



そうだよ、と目配せで答える。



隣でやっぱり!とはしゃぐ香織を後目に、真ちゃんへと疑問を投げかける。



「…もしかして、待っててくれた?」



「少しだけ時間が空いたから…そろそろ来るんじゃないかなーと思って。」



空いたんじゃなくて、きっと時間を作って待っててくれたんだよね…?



真ちゃんは昨日から本当に心配なようで、少し過保護気味なくらいなのだ。



それはそれで、嬉しいんだけど。



「あ、じゃあ私はここで失礼しよっかな!」



気を効かせてくれたのか、香織がそんなことを言い出す。

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