それでも君を
「ごめん、ありがと。
…ふふっ、真ちゃん優しいでしょ?」



香織を心配させないよう、無理矢理真ちゃんの話題を突っ込んで笑ってみせた。



だけど香織の方が一枚上手だったようで、私の強がりはあっという間に見抜かれてしまう。



「私に気を使わなくていいよ。今日は家族だと思って?」



その言葉に張り詰めていた気持ちが緩む。



「…怖いっ…」



ポロッと零れた本音。



「…当然だよ。」



香織の言葉と、優しく背中に置かれた手に救われる。



付いてきてもらって、良かった…



暫く待つと前のスクリーンに自分の番号が表示され、診察室へと入るよう促された。



短く息を吐き、ゆっくりと重い身体を起こして立ち上がる。

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