それでも君を
「あのお薬って、免疫抑制剤のこと?」



颯くんが怪訝な顔をする。



「…うん。だってあれのせいですぐ体調悪くなるって、梨央は人より気を付けないといけないって、颯くん言ってたから、、」



思いきって伝えてみる。頭ごなしに否定はされなかったけど、颯くんの顔色からこの話が上手く進みそうではない気配が漂う。



「それで飲まなければいいと思ったのか。だけど、大事なお薬だからねって話もしたと思うんだけどな。忘れちゃった?」



「覚えてる…けど、私だってみんなと同じように行動しても大丈夫な体になりたいんだもん。」



言っててなんだか悲しくなってきた。



思わず下を向く。



なんで私はこんな病気になってしまったんだろう…




「梨央、とりあえずここ座ろう。」



診察室に入ってから立ちっぱなしだった私を、颯くんが椅子へと誘導する。



一度心を落ち着かせて、と言われたような気分だ。

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