それでも君を
耳を塞ぎたい気持ちになっていたのに、聞こえてきた意外な言葉に思わず耳を傾けてしまった。



ベッドサイドに座って、目線を合わせながら、真ちゃんが私の頬へとそっと手を触れる。



「真ちゃん…」



「やらないであげたい。大事な梨央に針なんて刺したくない。」



そういう真ちゃんの表情は、真剣そのもの。



「…でも、やらなきゃ、でしょ?」



「そう思う?」



「だって、真ちゃんは、医者だもん…」



そっか、真ちゃんは自分の考える最善をやるしかないんだ…



自分で発した言葉に、ふと気付かされる。



でも、あれ?



私が真ちゃんを励ましちゃったら、結局…?


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