それでも君を
「忙しいのにごめん…」



香織が病室を出ていった後の沈黙が怖くて、何か言わなきゃと思った先に出てきたのは謝罪の気持ちだった。



私のことで時間を取らせてしまって、申し訳ないとは思ってるんだよ…



「そんなことは気にしなくていいよ。けど、どうする?僕はやるべきだと思うけど。」



本当の緊急時ではないので、判断をこちらに任そうとしてくれる真ちゃん。



さっきの香織の発言も効いているのかもしれない。



…だけど、、



決められない。



こんな時、嫌だけど颯くんがするみたいに、強引にやられてしまった方が、もしかしたらこちらは何も考えなくてよくて楽なのかもしれない。



医者として、真ちゃんみたいな優しさもすごく大事だけれど、患者が泣き叫んでいたってお構いなしにやるべき事を成し遂げる颯くんのような強さも、時には必要なのかもしれないと思い知る。



常に強引なのは絶対嫌だけど、その辺りのことも颯くんはわきまえてる気がするし。



やっぱり颯くんはスゴイんだよなぁ…



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