それでも君を
コンコン



そこに突然響いたノック音。



ふたり同時に振り返り、訪室者がドアを開けるのを待つ。



入ってきたのは颯くんだ。



このタイミングで来るなんて、颯くんはいったいどんなセンサーを持っているのだろう…



「おっ、なんか揉めてる?」



病室内に足を踏み入れた瞬間にそんなことを口にする。



颯くんの空気を読むスキルが高過ぎて、驚きを隠せないこちらふたり。



どうして何でも分かってしまうのだろうか…?



バレては仕方ないと、真ちゃんが颯くんへ手短に経緯を報告する。



話を聞き終えた颯くんが発したのは、うん、という一言だけだった。



そのまま私の方へと颯くんが近付いてくる。


< 233 / 604 >

この作品をシェア

pagetop