それでも君を
「ちょっとお腹触るよ。」



私が返事をする前に、すでにお腹はグッと押されていた。



いっ…たぁ…



表情にも声にも出さないよう努めたが、押された箇所に間違いなく感じる違和感。



「おっけー。」



そう言い残して、部屋を出ていく颯くん。



おっけー?



大丈夫ってことかな?



どうしたら良いのかわからず、取り残されたふたりは顔を見合わせる。



真ちゃんもよく分からないといった表情だ。



そんなふたりにはお構いなしに、あっという間に病室へと戻ってきた颯くんの手には、何やらトレーが握られている。



まさか…



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