それでも君を
拒否しているのになぜか着々と準備は進んでいく。



「水沢先生手伝ってくれる?」



そんな私にはお構いなしに、颯くんが急に真ちゃんへと話を振る。



「…っ!あっ、はいっ!」



少し驚いたような返事の後、言われた通り颯くんの前に立ち、真ちゃんがフォローへと入った。



「…水沢先生さ、梨央の言うこと聞きすぎないでって最初に言わなかった?」



準備を進めながら淡々と話しだす颯くん。



今咎められているのは、拒否しまくった私じゃなくて、何故か真ちゃんの方だ。



颯くんとは反対の方を向かされている私には、颯くんがどんな表情をしているのか、確認することは叶わない。



「…すみません。」



私がいるにも関わらず怒られている真ちゃん。



いや、もしかしたら颯くんは、敢えて私にも聞かせているのかもしれない。



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