それでも君を
「ゆうまくんまってー。」



実習のために赴いた小児病棟で、パタパタと走る女の子を捕まえる。



「心海ちゃん、どこ行くの?走っちゃダメだよ?」



「あ、りおちゃん!あのね、ゆうまくんがね、あっちであそぼっていうから!」



そう答える心海ちゃんは、先週喘息の発作で緊急入院となった女の子である。



入院当初はぐったりとしていたのに、発作が治まった途端に元気いっぱいの様子だ。



「あれ?でも心海ちゃん今から吸入の時間だよ?」



私がそう言うと心海ちゃんはあからさまにしゅんとする。


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