それでも君を
小児科の小松先生は、優しそうな雰囲気の先生で、実際私たちにも優しい。



ただし、治療となるとやっぱり話は別にせざるをえない。



「吸入ちゃんとしないとまたゴホゴホ出ちゃうぞ!」



「やーだー!りおちゃんおろして!」



見逃してほしいと必死に懇願するその姿は、私の心をギュッと軋ませる。



「先に診察しようかな。病室にいないから回診まだでさ。」



小松先生が困ったような笑顔を見せる。



「心海ちゃん。小松先生がもしもしさせてほしいんだって!ちょっとだけいい子で頑張れるかな?」


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