それでも君を
バタン、と無機質に閉まった玄関のドアの前で立ち尽くす。



無理して笑ったことも、真ちゃんにはきっとバレていたに違いない。



こんなことで泣くなんて、と思うけれど、何故だか一度流れた涙はなかなか止まらない。



ただでさえ頭が痛いのに、泣いたことによってますます頭痛も悪化しているようだ。



ペタペタと力なく歩き、ソファーへと戻る。



感情のコントロールが利かないまま、ひとり残された部屋で面白くもないテレビ番組をただぼーっと眺めていた。



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