それでも君を
待ちわびていた玄関の扉が開く音が聞こえたのは、そんなどうでもいい考察を散々頭の中で繰り広げた後の事であった。



カチャ



その音にピクッと反応して、心が踊る。



帰ってきた…っ!



尻尾を振って飛び付きに行きたい衝動に駆られるが、帰ってきて早々、はしゃいじゃダメと怒られるのは嫌なので、その場で大人しく待つ。



「ただいまー。遅くなってごめんね。」



荷物を置いて、手洗いをした後、私の元へと愛しい人が近づいてくる。


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