それでも君を
「水沢、そこで寝てる。」



チラッとカーテンの奥を覗くと、確かに真ちゃんが眠っていた。



疲れているのだ。



点滴が終わるまで眠らせてあげよう。



そう思い、香織の元へと戻る。



いつの日か、香織が私にしてくれたように、静かにそっと寄り添った。



「香織ちゃんの方は鳴ったかな?」



颯くんの問いかけに、香織が体温計を差し出す。



「こっちも高熱だね。」



香織から受け取った体温計を確認し、颯くんが呟く。



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