それでも君を
颯くんが打ち込むカルテの画面を横から覗くと、38.7℃との記載だ。



「うーん、インフルかもなー…。香織ちゃん、熱が高いから、今から採血とインフルの検査させてね。」



颯くんが香織と向き合ってそう声をかける。



私だったら絶対にやだ!と言うところだが、弱々しい声で香織は“はい”と返事をした。



偉いなぁ、香織…



「梨央とはえらい違いだな。しっかり見習わせてもらえよ。」



検査セットを取りに奥へと足を向けながら、しっかりと私へ嫌味を言うことも忘れない。



こういうところが颯くんである。



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