それでも君を
「颯くんだって、香織には優しく声かけしてるじゃん!」



基本的に負けず嫌いな私は、準備を終えて戻ってきた颯くんに、そう言い返して見せた。



「ちゃんと頑張る子にはちゃんと優しくさせて頂きます。」



これでどうだと言わんばかりの顔で、颯くんがフッと笑う。



うぅ…なにも言い返せない。



グッと口をつぐんだ私には構わずに、颯くんが香織へと声をかける。



「体調悪いのにうるさくてごめんね。先に聴診済ませようか。」



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