それでも君を
コンコン



「失礼します。」



静かに足を踏み入れた病室は重症個室で、それだけ彼女の病状が思わしくないことを示していた。



「おはようございます。起きてるかな?」



酸素マスクを着けた彼女は、閉じていた目をうっすらと開け、私に対応してくれた。



「苦しくない?少しお話したいんだけど、大丈夫?」



相手の様子を伺いながら、話しかけてみる。



「…はい、大丈夫で」



「あっ!起き上がらなくていいよ。」


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