それでも君を
どうしてこんな子が病気になってしまうのだろう。



そんなやりきれない気持ちが自然と浮上してくるが、今それを考えるのはやめておこう。



「こちらこそよろしくね。座ってもお話してもいいかな?」



お見舞い客用の椅子を指差すと、うんと頷いてくれた。



「ありがとう。お母さんいない、ね?」



病室を見渡してみるものの、やはりいる気配はない。



親御さんにもご挨拶しておきたかったのだけど…。



「あ、さっき、荷物を…。お家に…。」



一旦戻られたんだ…急だったから…。

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