それでも君を
「…今日会った時にいた研修医に話を聞かれたくなかったの。」



少し俯いてしまったが伝えられた。



「あぁ…そうか…」



真ちゃんの中で合点がいったらしい。



「…あの子はね、実は患者さんなんだ。」



まさか、思いもしなかった事実が真ちゃんから伝えられる。



「お偉いさんの娘さんでさ、白衣を着ないと病室の外歩いてくれなくて。患者として見られるのが嫌みたい。」



それで白衣を…



あんなに薄暗い廊下を歩いていたのもそのせい…



よく考えれば、白衣を着ているからといって研修医とは限らない。



さすがに患者さんという選択肢は思いつかないけれど、薬剤師や事務職だって白衣を着ていることもある。



そんな考えに及ばないほど、私も物事を決め付けていたし、2人の間の会話も足りていなかったらしい。


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