それでも君を
「…恵那ちゃん?

恵那ちゃん!聞こえる!?」



少し離れたところから、看護師の慌てた声が聞こえてくる。



「先生…!立川先生!恵那ちゃんが…!」



すぐさま別の看護師が私の元へと第一報を入れに来た。



半分聞いたか聞いていないかくらいで腰を上げ、恵那ちゃんの元へと向かう。



逸る気持ちとリンクするように自然と小走りになった。



顔を覗き込んで声を掛けようとしたところで、はっと息を呑む。



固く閉ざされていたはずの、恵那ちゃんの瞼がうすく開いていたのだ。

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