それでも君を
「恵那ちゃん、聞こえる?先生の手握れるかな?」



そう促し、繋いだ手をみんなで見つめる。



数秒が何分にも感じられた。



どうか…っ!



ピクッと恵那ちゃんの指が動く。



弱々しくはあるけれど、彼女の指は確かに動き、私の手をそっと握り返してくれた。



はぁっ…



よかった…っ



周りにいた看護師も他のスタッフも全員で安堵のため息をつく。



私もベッドサイドで今にも崩れ落ちそうな心持ちだ。

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