それでも君を
「、、、そうですね、立川さんの病気の性質上、室内での仕事が良いと思います。体力勝負の仕事じゃなくて、デスクワークとかがお勧めですね。医者なら外科より内科をお勧めします!」



てっきり“そんなこと言わないで”とか言われて慰められるのだろうなと思ったのに、先生から返ってきた言葉はものすごく具体的な提案だった。



「ちょっと待った!なんでオススメに内科が入ってんの?」



私のその言葉に水沢先生がふっと笑う。



「前にそのようなことお話ししてたので。医者になったら僕らの気持ち分かるのかなーって。」



ああ、言った、ね。



「それに立川さん聴診すごく上達しましたし。」



そうなのだ。


今では調子が良いときには、水沢先生の聴診器を借りて自分で音を聴くのが日課になっている。



「医者かー。大変そう。」



「大変ですよ。でも遣り甲斐はあります。それに、どんな仕事に就いても簡単な仕事なんてないかと。」



まあ、そうなのかもしれない。



「暇そうにされてたので。医者を目指して勉強してても良いんですよ!」



水沢先生がにっと笑う。



そういうことか!



「えー、ちょっと考えとく。」



言われて分かりました!と勉強を始める程、私は素直じゃないのだ。

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