それでも君を
やられっぱなしは悔しいので、少し意地悪したくて、あえてこの質問を投げつけてみる。


きっと先生困るだろうな。



「…もう少し先ですかね。」



ふふっ、やっぱり困ってる。



「まだ分かんないってことですね。はーい、了解です。」



先生の困った顔が見れたから、私的にはもう満足だ。



「薬は効いてるので、もう少しといったところでしょうか。って、なんでニヤニヤしてるんです?」



しまった、返答が面白すぎて笑いがもれてしまった。



「先生真面目すぎ。ちょっと意地悪したかっただけだからもういいよ。私のこと頭悪いって言ったお返し。」



さらっとネタばらしをすると、先生が少しムキになる。

 

「もう、だから言ってませんって!」



「はいはい、そういうことにしておきます。」



「っ!はい、もう大人しく休みましょう。これ以上の言い合いはドクターストップです。今日は当直なので、後でまた様子見に来ますね。」



夜も仕事なんだ、大変だなぁ。



私は何も言わない代わりに、ヒラヒラと手を振って先生を見送った。

< 72 / 604 >

この作品をシェア

pagetop