それでも君を
受診日。



外来の待合室に設置されているソファーに腰掛けながらふと思う。



“待ってますからね”とか言ってたけど、今日の予約って颯くんなのでは?



手元の予約用紙をみても記載されているのは颯くんの名前だ。



「ま、いいけど。」



ボソッと呟いて顔をあげると、目の前のスクリーンへと視線を向けた。



診察まであと3人か。



診察までの待ち時間が長いとどうしても逃げ出したい衝動に駆られる。



体調は悪くないとは思うけど、それでもやっぱり不安なのだ。

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