それでも君を
「はい、いいですよ。」



先生の手が身体から離れるのと同時にはぁーっと息を吐き出した。



無意識に息を止めて耐えていたらしい。



「あ、あのさ、この後聴診、するよね?」



当たり前の質問を恐る恐る投げかける。



もう何年も病院に通っているのだ。



さすがに診察の流れくらい知っている。



「ええ、しますよ。」



当然の答えが返ってきた。



「…ですよね。」



なんて言ったらいいんだろう?



素直に怖くなったって言えばいい?



颯くんにだったらやりたくないって簡単に言えるんだけどな。



けどそれは、言ってもどうせ診察されるって分かってるから言える訳で…



水沢先生に言ったらきっと、困らせちゃうんだろうな…

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