それでも君を
何が起こっているのかイマイチ分からないまま、その場の流れに身を任せる。



“分かりました。ではお願いします。”との言葉を残して、看護師さんが診察室から退出するのを黙って見送った。




「さて、一旦深呼吸しましょうか。」



ん?深呼吸…?



ぽかんとしたまま先生に促され素直に深呼吸をする。



「落ち着きました?」



「…少し。」



って、バカ!



少しとか言ったらテンパってたのバレるじゃんっ!



「…やっぱりそうでしたか。僕の診察受けるの怖くなっちゃいました?」



えっ、そこまでバレてる!?



「ち、違うよ。や、違わないけど、先生が嫌とかそんなんじゃなくてっ…」



もうなんか、上手く誤魔化しきれない。



「診察される事自体が怖くなったかな…?それとも、その後で何を言われるか分からないのが怖い…?」


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