それでも君を
「僕の話を聞かれたくなかったので、看護師には退席してもらいました。立川さんには特別にお話ししてるので内緒にしてて下さいね。」



悪戯っ子のような笑顔でそんなことを言う。



きっと場を和ませてくれているのだ。



「そんな事言われなくても、誰にも言わないし。」



先生が作ってくれた空気に乗っかって、私もいつものように言い返してみせる。



「ですよね。」



「うん。誰かに言ったところで全然ウケなさそうじゃん。」



そんな理由で言わないって言ってるんですか！？と水沢先生が盛大にリアクションする。



それを見て思わず笑みが溢れた。



「立川さん。
血液検査の結果も悪くないですし、もし聴診の結果が良くなくても、今日は入院しましょうなんて提案は絶対にしません。だから、少しだけ頑張ってみませんか？」



私が言い返したのをみてなのか、ここぞとばかりに先生が本題を捩じ込んでくる。



しかもこちらとしては嬉しい妥協案を添えて。

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