ヒーローの宿命

「警部、大変です‼︎川口翔流が留置所を脱走しました‼︎」
「なんだと‼︎急いで追いかけろ‼︎今ならまだ近くにいるはずだ！」
「はい、わかりました‼︎」
『くっそー。このままだと日本が、世界が大変な事になってしまう！どうにかしてでもあいつを捕まえないと…』
俺があいつを追っているのは、ただ単に殺人犯だからだけではない。8年前、あいつは俺の最愛なる妻と娘の命を奪った犯人だ。今でもその時のことは覚えている。死因は撲殺。後頭部を直撃し、ほぼ即死だったらしい。
奴の証言によると、『強盗に入ったら女２人に目撃されたからやった』と言っていた。
しばらくすると、先程の部下、燗澤警部補から電話がかかってきた。
「どうした。何かあったか？」
「先程、川口翔流が隅田川付近で発見され確保しました。脱走の理由はまだ捕まりたくなかった、だそうです」
「そうかご苦労だった、燗澤」
これでひとまず安心だ…