世界で一番、不器用な君へ


これじゃ、交換のしようが…


俯く視線の先に、先輩の、大きな手が見えた。


驚いて顔を上げると、先輩の体が目の前にあって。


心臓がまたうるさくなる。


「…ハイ、できた」


胸元で小さなリボンを作って私の首にかけられた、ハチマキ…


「先輩、これ…」


「欲しかったんだろ?あげる」


「でも、私のは…」


「いいよ、そんな使わないし。ていうかこんなんじゃいつものお礼に全然足りないけど」


もう、先輩、どこまで。


…どこまで好きにさせるんですか?

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