世界で一番、不器用な君へ


「おい、今失礼なこと考えてただろ」


「…別に」


勘の鋭いヤツ。


「で、なんか用?」


「ん、これ」


ピラッと目の前に差し出された紙を受け取る。


「キャプテンが、来月の予定渡しといてってさっき」


「ええ!?きたの!?」


最悪だ、もっと早く教室に来てれば…


「お前1年怒鳴ってただろ、ここまで聞こえたぞ」


ニヤニヤ笑ってくる蓮の声に、絶望する。


…聞かれた、先輩に。最悪。


「あー面白かった」


そう言って自分の席に戻る蓮の背中を思いっきり睨みつける。なんて憎たらしいヤツなんだろう。

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