世界で一番、不器用な君へ
蓮と、私が?
いい感じ?
「いやいや、それは本当に誤解。なにそれ、どういうこと?」
今までも何故だかそういう類の噂が流れたことはあったけど、楓にまで、クラスの女子にまで疑われるのは初めてだ。
「だって、蓮が倒れた時、泣いて介抱したんでしょ?」
「それは…まあ間違ってはないけど…」
「あと手繋いでるとこみたって人もいたし、校庭のど真ん中でキスしたのみたって人もいたし…」
「はあ!?ちょっと、なにそれ」
「あと、ハチマキ交換したのも、一花なんじゃないかって」
「そ、れは…」
私が言葉を詰まらせたのを合図に、クラス中の女子が質問ぜめを始めた。
「ねえやっぱりそうなの!?」「友達とか言ってほんとは付き合ってたの!?」「いつから?」「なんで!?」「どうして一花なの」「顔!?」
っていくら私相手だからって失礼でしょ!?ねえ!
「ちょっと落ち着いて!これは誤解で…」
「なんだ、朝っぱらからどした!?」
耳に飛び込んできたのは浩平の声だった。
教室のドアに、一気に全員の視線が集中した。
そこには、驚いた顔をした浩平と、少し不機嫌そうな顔をした、蓮がいた。