世界で一番、不器用な君へ


***


「カイ、タオル」


「あざす…ん、2枚ありますけど」


「…もらってなさそうな人に渡しておいて」


「…喧嘩したんすか、蓮先輩と」


鋭い後輩の指摘に、私は慌てて言葉をつなぐ。


「いや!そうじゃなくて…ていうか、私たちもともと仲良くないし。知ってるでしょ、カイも」


「…ま、早く仲直りしてくださいね」


それだけ言って、カイは行ってしまった。


あれから結局蓮に謝らないまま時間は過ぎて…


蓮も、私に何か言ってくることはなくなった。


お陰で女子達の目線は気にしなくてよくなったけど…


やっぱりよくないよね、部活にまで支障をきたすなんて。


後輩にまで、気を遣わせて。


「一花」


「うわあ!」

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