世界で一番、不器用な君へ


突然声をかけられ、思わず変な声を出してしまう。


「や、大和先輩…」


大和先輩は、笑いを堪えるように肩を震わせている。


は、恥ずかしすぎる…


「すみません…」


「いや、ごめんごめん。悩み事?」


「…悩み事っていうか」


「…蓮となんかあったんだろ」


「なっなんでわかるんですか!?」


エスパー!?神通力!?


「蓮もイライラしてたから。あいつがイライラすんのは、お前のことくらいだろ」


「あー…仲悪いんで」


「いや、そうじゃなくて」


ポン、と大きな手が私の頭にのる。


「あいつが感情だせるのは、多分浩平とお前くらいだってこと」


「そう、ですか?」


まあ確かに私は女子だと思われてないし、猫も被らずにディスられまくるけど。


それが、そういうことになるのかな?


…ちょっとは猫くらいかぶってほしいけど。


「ま、あんまり悩むなよ。コーチが呼んでた」


先輩はいつも通りやさしく微笑んでみんなのところに戻っていく。


…やっぱり、このままじゃダメだ。

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