世界で一番、不器用な君へ
「ほんとアンタたち、朝っぱらから仲良しねえ」
「ど・こ・が!?今のどこをみてそう思った!?」
「見た目だけなら十分すぎるほどお似合いだし、付き合ったら?」
「死んでも嫌。あんな失礼なヤツ…」
「ま、悔しかったら女子力あげることね〜」
チャイムがなって、楓は授業の準備のために前を向く。
…そりゃ、私だって。
私だって、興味がないわけじゃない。
かわいいもの、流行りのもの、メイクにオシャレ。恥ずかしくて言えないけど、ほんとはちょっとだけ憧れてる。
でもキャラじゃないし、だいたいオシャレをしたところで部活が終われば汗だらけ、メイクなんてぐちゃぐちゃになる。
かわいいくて、スタイルよくて、本当に羨ましい。
そんな風に言われたって、嬉しくなんてないんだ。だって、そんなの意味ないから…