世界で一番、不器用な君へ


部活が終わって、一年生も含めほぼ全員でカラオケに行った。


来てくださったOBの先輩方は、お世話になった大一の先輩たちと、少ししか会ったことのない大三の先輩。


「よし、じゃあ部活お疲れー!」


「「お疲れ様でーす」」


部活の話や大学の話、思い出話、恋愛の話。


話題は尽きず、部員たちもいつになく盛り上がる。


「いやー、お前たちも最初は騙されただろ」


「えっあっ、まあ」


「だよなあ、雨宮、驚くくらい見た目だけは可愛いからなあ」


って、なんの話かと思えば…


「悪かったですね、中身は女じゃなくて」


言われ慣れたことだ。今更どうとも思わない。


「でも、マネージャー、モテますよ結構」


「ちょっとカイ、お世辞はいいから」


できた後輩だ、こいつは。


「ま、ぶっちゃけこん中にも1人くらいはいんだろ、雨宮のこと好きなやつ。そう思うよな、大和」


って!なんで大和先輩に振るのよ〜!!!


「やっ、やめてくださいよ先輩っ」


「…そうですね、一花は、かわいいから」


なっ…


なんでそんなこと平然と…


「んで、相変わらずこの生意気蓮様と仲良ししてんのか、雨宮は」


「いや、その…」


「先輩ウザいっすよ。俺飲み物取りに行くんで」


「んだよ、相変わらず可愛くねえやつだな!」


蓮は私の顔を一ミリも見ずに、外に出てしまう。


…なによ。こんなときでも、お愛想でも、嫌なんだ。


私と、関わるの。


むしゃくしゃした気持ちを抑えるために、私はテーブルに置いてあったコップを手に取り一気飲みする。


「あれ、雨宮ちゃん、それ」


「へ?」


あれ、なんかクラクラする…

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