世界で一番、不器用な君へ


「おい、頼むから背中で漏らすなよ!」


「んー」


こいつならやりかねない、本当に。


「…なんで」


「あ?」


「やまと、せんぱい、のことすきになっちゃったんだろ」


眠そうな声で、でも確かに一花はそう言った。


「ゆかさんがいるって、わかってるのに。あんなひとには、かなわないなーって、しってるのー。すごいきれいで、ふふってわらってー、おんなのこーってかんじ」


ギュッ、と俺の首に回された手に力が入った気がした。


「わたしとは、せいはんたいなんだー」


「そんなに」


気づいたら、口に出ていた。


「そんなにキャプテンが好きかよ」


しばらくの沈黙の後に、気持ち良さそうな寝息が聞こえてくる。


「…ほんと、忙しいやつ」


忙しくて、意外と乙女で、不器用で。


ほんと、めんどくさいやつだな、お前は。

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