世界で一番、不器用な君へ
「ただいま…」
「ちょっとあんた…」
青い顔をした母親が、玄関で俺を迎えた。
「女の子に何したの!?そんな子に育てた覚えは…」
「だーもうっ!ちげえよ!」
説明は後だ。
「おい、一花、起きろ!トイレ行きたいんだろ!?」
おぶったまま揺さぶってみても、起きる気配がない。
「…とりあえず、お姉ちゃんの部屋に寝かせたら?」
「…ん、そうするわ」
大学生で一人暮らしをしてる姉の、今はもう使っていない部屋のベッドに、一花を下ろす。
母さんにざっと説明したら、とりあえずは寝かせておけと言われた。
気持ち良さそうに眠る一花に、そっと布団をかけた。