世界で一番、不器用な君へ
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あったかい。
ふわふわする。
優しくて、落ち着く香り。
しっかりと広い、背中?
ああ、なんか、心地いい…
体が、重い。
なぜか急にそう思って、目をゆっくりと開ける。
…あれ、私、寝て…?
暗い部屋。目がまだ慣れてなくて、状況がわからない。
確か、バスケ部のみんなとカラオケで…
そうだ、飲み物飲んだら視界が回って、それで…
「一花?起きた?」
電気がついて、一瞬眩しさに目を細める。
光に目を慣らすように、そっと、ゆっくり目を開く。
「…蓮?」
「まだ頭痛いか?この酔っ払い」
呆れた顔で、コップを渡される。
なに、なんのことだ…
ぼーっとした頭でコップに口をつける。
冷たい水が喉を流れ、意識もなんだかハッキリしてきた。
「…あれ、みんなは?」
「…どこまで覚えてんだ」
うーん、と。
「カラオケで、蓮が出てった後、飲み物一気飲みした…ところまで?」
蓮が、はあー、と盛大なため息をつく。
あれ、というか。
「…蓮、怒ってないの?」
「…誰が、怒ってるやつをわざわざ運んで家にまで連れてくる?」