世界で一番、不器用な君へ


***


あったかい。


ふわふわする。


優しくて、落ち着く香り。


しっかりと広い、背中?


ああ、なんか、心地いい…











体が、重い。


なぜか急にそう思って、目をゆっくりと開ける。


…あれ、私、寝て…?


暗い部屋。目がまだ慣れてなくて、状況がわからない。


確か、バスケ部のみんなとカラオケで…


そうだ、飲み物飲んだら視界が回って、それで…


「一花?起きた?」


電気がついて、一瞬眩しさに目を細める。


光に目を慣らすように、そっと、ゆっくり目を開く。


「…蓮?」


「まだ頭痛いか?この酔っ払い」


呆れた顔で、コップを渡される。


なに、なんのことだ…


ぼーっとした頭でコップに口をつける。


冷たい水が喉を流れ、意識もなんだかハッキリしてきた。


「…あれ、みんなは?」


「…どこまで覚えてんだ」


うーん、と。


「カラオケで、蓮が出てった後、飲み物一気飲みした…ところまで?」


蓮が、はあー、と盛大なため息をつく。


あれ、というか。


「…蓮、怒ってないの?」


「…誰が、怒ってるやつをわざわざ運んで家にまで連れてくる?」

< 125 / 190 >

この作品をシェア

pagetop